図書サービスコーナーおすすめ「こんな本はいかがですか？」

『旅をする木』
星野道夫／著　文藝春秋
1999年3月
おすすめ：一般

『－あの頃、ぼくの頭の中は確かにアラスカのことでいっぱいでした。まるで熱病に浮かされたかのようにアラスカへ行くことしか考えていませんでした－』

星野道夫は、学生の頃から北方の自然に惹かれていた。
19歳でふと目にしたエスキモーの村の空撮写真をきっかけに、その後ひと夏を過ごしたアラスカに魅せられ、写真家の道を選びアラスカに渡る。
極北の大自然に生きる動物と人々の暮らしを取材しながら、多くの写真と文章で記録を残した。そして1996年8月8日、ヒグマに襲われ43歳の若さで早過ぎるその人生を終える。

文章が真摯であたたかく、星野道夫の人柄と人間性に溢れ、どこか控えめな表現がかえって想像力をかきたてる。
人間社会ではつい日々の暮らしに追われ視野が狭くなりがちだが、世界は広い。
人間の営みと並行し、今この瞬間もアラスカでは悠久の大自然の営みが流れている。
いつかアラスカに行き、この目で、この肌で、大自然を感じてみたくなった。
心がすーっと洗われていくような、そんな素敵なエッセイ。
何度も読みたい、そして是非読んでいただきたい。

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