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図書サービスコーナーおすすめ「こんな本はいかがですか?」
『姑獲鳥の夏』
京極夏彦/著
講談社 1998年9月
おすすめ:一般
今年9月『邪魅の雫』以来17年ぶりとなる京極堂・百鬼夜行シリーズの長編『鵺の碑(ぬえのいしぶみ)』が刊行されました。とてつもない分厚さでしたが、長ければ長いほどその世界に浸れるので、手に持った時は喜びを噛み締めてしまいました。
今回はシリーズ第一作目である『姑獲鳥の夏(うぶめのなつ)』をご紹介します。
昭和27年の夏、東京の雑司ヶ谷(ぞうしがや)の医院には奇怪な噂が流れていた。
それは娘が20箇月も身籠ったままでいること。
そしてその夫は密室から失踪したということ。 この謎に古本屋兼陰陽師、文士、探偵などが巻き込まれていく。
妖怪は作中に実体として登場しませんが、その妖怪に見立てられた奇怪な事件を「京極堂」こと中禅寺秋彦が「憑き物落とし」として解決する様を描いています。
また、作品内では民俗学、論理学など様々な視点から妖怪の成り立ちが説かれています。
あまりの長さに手に取るのを諦める方がよくいるこの作品ですが、まず数ページ読んでみましょう。
スムーズに世界観に入れた方はそのままどんどん読みましょう。
つまずいてしまった方は、その部分をさらっと読みましょう。
大丈夫です。そこで読むのを止めてしまうことの方がもったいないです。
最初のつまずきを乗り越えた先にあるものがあります。
これはあくまで個人的な見解ですが、1回で完全に理解するのは難しいです。
少し時間をあけて読むと、さらなる理解と発見に出会える、そんな作品だと思います。
ぜひ、手に取ってページを捲ってみて下さい。
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